社労士の歴史(1)戦後、労働者権利保護の法制化と労務管理士の誕生

公開日:  更新日:2019/01/28

戦後間もない昭和20年代前半、労働者の権利は法律によって守られるようになりました。
法律によって、労働者の権利が確立されたとも言えます。

この頃は、まだ私は生まれていません。
ですから、学校で習った話です。

労働関係の代表的な法律、労働三法ができたのもこのころです。

  • 労働基準法(昭和22年制定)
  • 労働組合法(昭和24年制定)
  • 労働関係調整法(昭和21年制定)

労働組合法は昭和20年に制定されましたが、昭和24年に全部改正されました。
労働関係調整法には、前身である労働争議調停法(大正15年制定)がありました。
いろいろあって、今の法体系ができあがったのですね。

あわせて、労災保険や失業保険も誕生しました。

  • 労働者災害補償保険法(昭和22年制定)
  • 失業保険法(昭和22年制定)・・・後の雇用保険法(昭和49年制定)

労働者を対象とする健康保険、厚生年金も改正、拡充が図られていきます。
労務関係の手続きは、どんどん複雑になっていきます。
小さな会社では、自社ですべてをこなすのは限界になっていきます。

求める者があれば、それを提供する者が現れます。

労務関係の代行業務が登場しました。

労務管理士の誕生

最初は、さまざまな方がさまざまな名称で、代行業務を行っていたようです。
このような状態になると、業者団体を結成しようとするのは自然の流れです。

業界内部で結束し自然発生していくか、
監督官庁が主導するかは様々ですが、
どうやら自発的にそういう動きがあったようです。

「労務管理士」の登場です。

注)「労務管理士」という資格は、今でも複数存在しています。

これは労務管理士が民間資格であり、名称独占資格でもないためです。
ひとつの団体がこの名称を独占できないため、各認定団体がそれぞれ独自に資格試験を行っています。

高度経済成長と労務管理士と社会保険士

さらに1960年代から1970年代の高度経済成長の中で、急速に労使間の対立やストライキが頻発するようになりました。
まだ幼かった私も、何となくおぼえています。
実際にストライキで困ったことはありませんから、おぼえているのは、すでに落ち着いていた時代だったのですね。

日本経済は急激な成長により、賃金はうなぎのぼり、税収や企業からの社会保険料も増加の一途でした。

労災保険・雇用保険などの労働保険も、どんどん発展していきました。
厚生年金・健康保険などの社会保険も、どんどん拡充されました。

そして、「労務管理士」が誕生しました。
そして、「社会保険士」が誕生しました。

この頃は法律上、書類作成の代行は「行政書士」の担当です。
しかし、労働・社会保険の仕組みや申請・給付に係る事務手続きは、専門的な知識が必要です。

内容も難しく、手間もかかります。
制度もどんどん複雑になっていきます。

業務を請け負ってもらえる「専門家」へのニーズはどんどん高まります。

そして昭和43年(1968年)社会保険労務士法が制定されました

そして、「社会保険労務士」が誕生しました。

昭和43年(1968年)、社会保険労務士法が議員立法により制定されました。
制度発足時の経過措置として、行政書士が試験なく特認として社会保険労務士資格を取得しました。
およそ9,000名が社会保険労務士となったそうです。

1968年 社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)制定

社会保険労務士誕生の前に、もうひとつの歴史がありました。

労務管理士と同じ頃、社会保険士が誕生していたそうです。
>> 社労士の歴史(2)戦後、社会保障制度の拡大充実と社会保険士の誕生


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